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戻るとは?/ マイワン

[ 123] 高成長に戻る世界経済と取り残される日本 (山崎養世の「東奔西走」):NBonline(日経ビジネス オンライン)
[引用サイト]  http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071225/143931/

去年の世界経済は、米国でのサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の問題で揺れました。1990年代以来上昇を続けた米国の不動産は大幅に値下がりし、証券化された商品に投資した世界の金融機関が巨額の損失を計上しました。危機を過小評価して対策が何度も後手に回ったバーナンキ議長のFRB(連邦準備理事会)の対応のまずさもあって、世界中の株式市場は乱高下を繰り返しました。
今年も、サブプライムローン問題は、米国経済に大きな影を落とすでしょう。消費は落ち込み、金融機関の貸し出しも落ち込むことが予想されます。そうなると、日本から米国向けの輸出も伸び悩むでしょう。
それでも、米国や世界の金融システムが、90年代の初めのような深刻な危機に陥るリスクは小さいと見られます。その理由は、大手金融機関の自己資本が当時と比べてはるかに大きいこともありますが、より根源的には、世界経済で投資や貸し付けに回すことができる資金が極めて潤沢であることです。
その象徴がシティグループです。ジョン・リード会長時代の90年代の初めに約3000億円の損失を計上し、経営危機が囁かれました。その時、サウジアラビアのアルワリード王子が約700億円分の優先株を購入してようやく危機を脱しました。
去年、シティはサブプライム問題で最大で約2兆円にも上る巨額損失の計上を発表しました。チャールズ・プリンスCEO(最高経営責任者)は辞任し後任がなかなか決まりませんでした。ところがその時、アラブ首長国連邦のアブダビ投資庁が約8100億円を出資し、シティは自己資本を充実することができました。15年前とは比較にならない金額を、米国のトップ金融機関は、海外から調達できることを見せつけました。
もう1つは、金融機関が担保に取る不動産市場の下落が米国に限られ、世界に広がる気配がないことです。特に、アジアや中東での旺盛な不動産開発や投資は抑制が難しいほどです。90年代初めのように、世界同時の不動産下落は起きていないのです。
そもそも、2006年6月まで、FRBが17回も連続して利上げをし、米国での信用収縮を目指してきました。引き締め政策の効果は、特に過熱した不動産などの資産市場がそのターゲットだったはずです。金利政策の効果は18カ月後に現れるといわれるわけですから、去年のサブプライム問題に端を発した米国の不動産の下落はセオリーどおりといえるでしょう。
金融引き締めによる信用収縮は、資産市場のうちもっとも過剰なレバレッジと価格の上方乖離をしてきたところに現れるのが普通です。1990年代の前半は世界の不動産、後半はヘッジファンドやアジアの通貨や株式であり、2000年代前半はITバブル、後半は米国のサブプライム市場がそれに該当したわけです。
しかし、いったん政策効果が出て資産市場が低下を始めれば、今度は過大な信用収縮を防がなければ、金融機関の損失の拡大から連鎖的な金融収縮が起きます。そのために速やかで思い切った金利低下と資金供給が必要になるのです。
FRBは米国の金融当局であると同時に、ドルという世界通貨の供給元である以上、自国と世界の資産市場をコントロールする宿命にあるわけです。ECB(欧州中央銀行)もそうした性格を持ちます。同様に、日本の日銀も、キャリートレードなどを通じて行われる円を通じた信用創造をコントロールする使命を持っているはずなのですが…。
つまり、中央銀行にとっては、銀行貸し付けという狭い定義の信用創造よりもはるかに規模が大きく変動性が高い、不動産、株式、商品、債券などの資産市場の安定が重要になります。グローバリゼーション金融の時代の中央銀行の宿命です。
なぜなら、そうして資産市場を支えているのは、短期金利によって借り入れを行う、ファンド、証券会社、銀行の自己部門、保険会社、などの機関投資家です。金利の上昇は、そうしたトレーダーの損益分岐点を、レバレッジを通じて何倍にも悪化させるからです。
今回のように、いったん資産市場の低下が始まれば、直ちに金利を大幅低下させなければ、金融機関の連鎖的な信用収縮が始まるのです。21世紀のいま、トレーダーの活動は世界に広がり、かつ世界からの資金提供がありますから、損失もまた世界に広がります。日本のようにこの流れを止めようとすれば、その国の金融市場はたちまちローカル市場に転落してしまいます。
バーナンキ議長の行動は、too little, too lateです。市場型経済のメカニズムを熟知したグリーンスパン前FRB議長は、バーナンキ議長が重視するテイラールールやインフレターゲット論といった、常に市場より遅行するデータに基づく政策だけでなく、資産市場の変動と金融機関の流動性危機そのものへの対応をしましたから、金融危機を未然に防ぐことができました。
イラク戦争を機に世界の枠組みは大きく変わった。東西冷戦が終わり米国による世界覇権の時代が訪れたものの、わずか10年で終わりを告げた。戦争はできても世界に覇を唱える力がないことをさらけ出してしまったからだ。その間、ユーラシア大陸の西ではEU(欧州共同体)が世界における政治・経済の新しい軸として存在感を増し、一方、大陸の東では中国が急成長、アジアはもとよりラテンアメリカ、アフリカとも強い絆を築きつつある。その変化の意味を意外に分かっていないのが日本である。国際的に日本はどのようなスタンスを持つべきなのか、また地方を活性化するにはどうすべきかなどについて、歴史的視点から日本の政治・経済のあり方を厳しく問う。

 

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